草食系男子と血液型占いは同じ

草食系男子の憂鬱 - 内田樹の研究室
 上の記事を読んで、ぼんやりと「草食系男子」について考えたことを書きます。

「草食系男子」の意味って?

 内田先生によると

特徴は
すぐ泣く。
拗ねる。
「どうせぼくなんか・・・」といじける。
かわいこぶる(齧歯類系の「かわいさ」を演じるのが上手)
メールに顔文字をたくさん使う。
優柔不断で、「何食べる?」「どこ行く?」といった質問に即答できない。
化粧品にうるさい。
肌を美白に保つことに熱心。
ヘア命(ヘアセットができてない姿を見られると、スッピンの女性のように身もだえするらしい)
家族と親密。
などなど。

 これらが「草食系男子」の特徴らしいです。適当に「草食系男子」を語るメディアが多い中で、最初にきちんと「草食系男子」を(ある程度)定義してくれているのが内田先生のブログの読みやすいところです。ただ、「恋愛に積極的でない」「性欲があんまりない」というのも重要な要素だった気がしますが、内田先生の話は学生の「彼氏」の特徴なので、(すでに「付き合う」という第一関門もクリアしているし)恋愛関係の要素は入っていないのでしょう。もしくは、故意に先生が省いたのかもしれません。いくら女子大のゼミといっても彼氏が草食系だからセックスレスだとかいう話までするとは思えませんし、しててもあんまり大学のイメージが上がる気はしませんから。
 で、想像ですが、これらの項目を見ていると、たぶん多くの男性が「あぁ、俺は草食系じゃないな」と安心(?)するのではないでしょうか。まだまだ男性用化粧品の普及率なんて低いでしょうし、ヘア命の人は居ても美白=美男と考えている人は少ないでしょう。
 でも、私はこの記事で「内田はまちがっとる!神戸女学院の学生だけを見てワカモノ全体を語るな!視野が狭い!」などと言うつもりはないです*1。「おじさん知らなかった」「ただちに述べる」「よくわかんないけど」などなどの表現を見れば、学者としての分析ではなく、サラリーマンが居酒屋で話すレベルの話だということは明らかだからです。だからはてなブックマークの人もそのへんちょっとアレしてください。

草食系男子と血液型占いは同じ

 血液型占いに限らず、占いって、たいてい誰にでも当てはまるようなことを言って、安心させてあげる商売じゃないでしょうか。
 で、血液型占いで、「B型」のイメージとされている「適当、いいかげん」も、「A型」のイメージとされている「マジメ、きちょうめん」も、誰にでもある程度「いいかげんな一面」も「マジメな一面」もあるから、「当たり」ます。それと同じで、「草食系男子」の特徴(たとえば、上に引用したようなもの)も、ある程度誰にでも当てはまるものじゃないでしょうか。
 いじけたことのない、すねない、泣かない、家族との予定をまったく入れない、家族の話をしない、顔文字を使わない、質問に即答する、性欲をたぎらせた、恋愛に積極的な男子、そんなにいっぱい居ますか? むしろ少数派じゃないでしょうか?*2ここまで「草食系男子」の認定基準がゆるくなれば、そりゃ、ほとんどの男子は草食系男子になってしまいます。

個人的には

 草食系男子という言い方、ネタでなく、真剣に悪口として言ってる人、ちょっと見てて恥ずかしいのでできればやめてほしいです。これは感覚的な問題ですが。

蛇足

 内田先生、いまどき「実存男子」は流行らないと思います。代わりに、「プラトニック男子=プラトン的男子」を流行らせたらいかがでしょうか。なんとなく知的な響きがするのでいいと思います。
 余談ですが、私が以前、大学で教養の講義を受けていたとき、その講師(ふだんは女子大勤務)が、「うちの学生が、テレビや新聞に載っているようなことも、まったく政治について知らないので、『君たちは政治について興味はないのか』と聞いたとき、ほぼ全員から『ない』と言われたので、『じゃあ日本の政治は君たちが無関心でどうなる、どうするんだ』と聞いたら、『そんなのは頭のいい東大生と京大生がやることだ』と言われ、『そうか、じゃあ政治に何が起こっても文句言うなよ』と呆れた、たぶん今の大学生の99%はこういう状況だ」とおっしゃっていたので、たぶんアンガージュマンも流行らないと思います。資本論読んでもモテないし。

*1:ここの語尾は「ありません」にすべきなんだろうけど、そうすると一気に冷たいニュアンスになったからやめました、日本語って不思議

*2:北斗の拳ラオウでも泣きますし、バキの勇次郎でも家族を大切にしますから(超子煩悩)、男の中の男といわれる彼らですら肉食系男子とは言いにくいですね。フィクションの中にも居ない肉食系男子っていったい…