日本人が英語ができない、かなり一般的な3つの理由

 英語ができないたった1つの決定的な理由を読んだけど、僕とは意見が違う。

自分が英語で何をしたいかによって、必要な単語の数は決まるが、その必要な単語力が不足して、英語に関する目的を達成することはまず不可能。大事なことなのでもう一度言います。単語力が足りていて、他で足を引っ張ることがあってもその逆はない。どれだけ他ができていようとも、必要な単語力が足りないやつは、決して英語で何かをすることはできない。

 単語力だけを上昇させるということがそもそも難しくね? さらにこの人、「必要な単語の数」という概念を使ってるけど、たとえば「英語で経済新聞を読みたい」と「英語でクッキングの本を読みたい」という二種類の目的があるとしよう。そしたら前者と後者では「覚えるべき単語の種類」が違うのであって、数というわけじゃないよね。前者だと経済関連の用語が多く必要になってくるし、後者だと食材・調味料・器具の名前が必要でしょ。そもそも、事前に単語を暗記しまくってから「やりたいこと」をやる人なんていないよ。「やりたいこと」をやっていく中で、たとえば本を読んでいく中で適宜知らない単語を辞書でひいて覚えていくっていうもんでしょ。

「学校において英語のテストでいい成績をとる」これはそれほど難しくない。その試験において出そうな単語を知っているだけでよいからだ。

 これは単語の意味だけ書かせるような偏ったテスト(小テスト的なもの)にしか通用しないよ。たとえば現在完了形の分からない中学3年生に"Nobody has ever understood me like you do."という語彙自体は誰でも知ってる文を見せたところで意味不明でしょ。そしてこの中学生のケースはまったく特殊じゃないと思う。全国の中学校で起こっているはず。

英作文は「読む」より難しい文章が出るはずだから、100単語もいらないレベル。というより、東大に合格するのに単語力は全然必要ない。ごまブックスの「600単語」だけで本当にかなりできる。一応「DUO」や「ターゲット」あたりに目を通しておいた方がいいが、覚えてなくても全然困らない。本当に必要なのは1000??1200単語くらい。嘘だと思うなら、予備校の講師や合格者に聞いてみればいい。逆に京大は単語力ないと絶対にできない。4000単語レベルの知識がないと、和訳の部分で不安になるところが必ず出てくる。「DUO」や「ターゲット」では足りないので、自力で努力するか塾行った方がいい。

 なぜ『「読む」より難しい文章が出る』と『100単語もいらない』のか非常に気になりますな。ちょっと意味が分からない。そして、僕の受験経験と家庭教師・塾講師のバイト経験から言うと、これを信じて受験したら東大どころかセンターの英語ですら語彙に困るよ。僕が昔センター英語を受けた時は、語の強勢(アクセント)以外はノーミスだったから、たぶん200点満点中196,8点だったと思うんだけど、それでもセンター英語の問題の中に知らない単語があった。別に単語力ないと困るのは京大だけじゃないよ*1。単語力だけで突破できるもんでもないけどね。僕は京大の英語はむしろ国語力の問題だと思うけど。あれ普通に「京大受験生の9割は知らない単語」が入ってるからね(わざとらしいけど)。むしろ京大英語の真髄は究極のムチャ振りというしかない英作文にあると思うし*2

「話せる」くらいまでは、文法とかはあんまりいらない。五文型の意味と前置詞くらいかな、気をつけるのって。結構適当で何とかなる。むしろ単語と発音間違えないようにする方が大事。これガチ。

 単語と発音は確かに大事ですな。僕はまだまだlikeがrike*3だけど。まぁ、最近は英語も方言を認める流れになってきているので、日本的に発音しても別にいいとおもうけどね。僕は「話せる」ためにはリスニング力が大事だと思うけど。ある程度トシとってからいきなり英語圏に飛び込んだ人にはわかると思うけど、周りの人がみんな早口で自分に分からない言葉で喋ってるって超ストレス。喋るのは受験英語の知識で別に困らないけど、聴くのは苦労する。
 で、タイトルの「日本人が英語ができない、かなり一般的な3つの理由」を書きます。そもそも日本語のネイティブが英語習得に向いていないというのはいいっこなしで*4…。

1.自分に何かが足りないと思い込んでしまう

 本屋においてある「裏ワザ」的な本は、ほとんど著者の自慢話か特殊なケースの話。単語力は確かに大事だけど、単語力だけが足りないから困るっていうのは特殊なケース。何かが足りないんじゃなくて、全体的にまんべんなく足りない。そもそも「文法」と「単語」に区切る学習メソッドが意味不明。日本語を習得する時に区切りましたか? だいたいこのメソッドは、「文法」はややこしいうえに生きた英語じゃない、「単語」は覚えるのめんどくさいなどとサボる口実を与えるだけ。英文を読む、英語を聴く、英語を喋る、参考書をやる、全部必要だと思うけどね。野球少年が「細かいルールを覚えるのはめんどくさい」「キャッチボールは実践では無意味」「ある程度以上の遠投能力は試合では要求されない」「生きた球に触れないと。ピッチングマシーンでは打撃力は上がらない」とか言ってサボってたら殴りたくなるでしょ。まんべんなくやらないと。

2.お互いに牽制しあう

 (これは英語だけじゃないんだけど)日本人って、誰かが英語を喋り始めたらすぐ批評するでしょ。発音がどうとか、AhとかUmとか言いすぎだとか。自分がふだんから他人の英語を(心の中でも、口に出しても)批評ばっかりしてるから、英語を使うときに余計なプレッシャーがかかる。口を開けば大先生、実践すれば三流俗人というやつ。喋ってる時に「伝わるかどうか」以外のことを考えていて伝わると思ってんの? 「流暢に喋れない」というコンプレックスが、いつまでも人を英語ができない気分にさせる。まぁ、いい習慣じゃないよね。

3.人のせいにする

 学校教育の死んだ英語のせい。文法偏重のテキストのせい。教師自体があまり英語力がないせい。この前読んだ英語の裏ワザを紹介する新書が適当なこと書いてたせい。参考書が悪いせい。忙しいせい。セイセイセイセイ、ハードゲイか君は。

最後に

 僕はあんまり英語得意じゃないです。帰国子女でもないし、早期教育も受けてないし。受験英語の知識だけ。英語の論文も英字新聞もすらすら読めない。AhとかUmとか連発しても単純な文しか話せない。ビートルズの歌詞すら何度も聴かないと分からない。でも別にコンプレックスは持ってない。結局英語コンプレックスを持ってる限り「英語ができる」とは自分で言えないわけで、まずはコンプレックスからかもしれません。

*1:しかし、東大と京大の英語って、どっちが難しいかよく比較される。東大は時間と物量で攻めてくるタイプで、京大はじっくりと思考させるタイプだから、比べようがないと思うんだけど

*2:ヒマな人は本屋で「京大の英語25年」をめくってみてください。英語に訳しづらい、いかにも「日本語」な文章が並んでる

*3:英語圏から見た日本人の英語ジョークではこの例が有名

*4:僕は「日本人は○○がダメ」という言い方はあんまり好きじゃないんだけど、英語については認めざるを得ないと思う