「派遣社員・期間工であること」が本当の生活苦の原因ではない

 僕は、飲みに行かない日は一日の食費が1000円を超えることはない*1。だから、テレビに出てなにやら文句を言っている派遣社員期間工の人たちが、「生活が苦しい。食費を削っている」というような主張をするのが理解できなかった。
 NHKのニュースを見ていると、手取りで月15万円前後はみんな稼いでいるようだ。さすがに月10万円という人の報道はあまり見ない。家賃や光熱費でいくら取られるのか知らないが、少なく見ても5万円は残るだろう*2。5万円といったら、僕の食費で計算すると50日は無理せず過ごせることになる。被服費、医療費などを考えても、十分やりくりできる範囲だろう。
 そう考えてみると、本当に家計を圧迫しているものが見えてくる。借金、ギャンブル、子供だ*3。一度パチンコに行ったことがある人なら、パチンコの客が如何に計画性なく金をつぎ込むかわかっているだろう*4。前の二つは、特に借金がギャンブルから発生した場合は、「自己責任」で片付けるのが妥当だろう。ギャンブルをしたのだから自己犠牲はしょうがない。ギャンブル中毒者を救ってくれる国などないし、世論が許さないだろう。子供にかかるお金に関しては、体制でカバーするのか否かの議論が必要だが、ギャンブルによる貧困については議論する必要がない。
 ということで、まずは「ギャンブルから生まれる貧困」とそれ以外の貧困を区別するところから議論を始めるべきだ。マスコミはそこを追求していない。多くの論者もそこを区別していない。間違いなく、前者の救済は世論が許さないので、前者の救済を議論する必要はない。後者の救済に議論を絞ることで、かかる予算も劇的に減るだろう。
 僕は、パチンコ、競馬などの専用の施設を伴うギャンブルはすべて登録制を導入すべきだと思っている。これでダルビッシュ有のように未成年でパチンコをするのは不可能になる。タスポと同様に、玉・馬券の購入の際にカードを使えばいいのだ。生活保護を受けている人、借金がある人はカードを使用不能にすればいい。自分の意思でカードを使用不能にすることができればなおよい(たとえば、役所に届け出れば任意の期間は使用不能にできる、など)。
 これだけで、貧困対策は一気に進むと思う。

*1:朝夜はだいたい自炊。昼飯は学食か弁当を買うか大学近くの店。同棲している彼女と合わせても1800円は超えない。彼女のお菓子代のほうが高い日もあるはず。

*2:超余談:僕の昔からの友達に、新聞奨学生をやりながら国立大学に通っている人がいるが、彼は毎月数万円の貯金をしている。彼が派遣社員より稼いでいるということはないと思うが…

*3:酒・タバコも好きな人には負担だろうが

*4:社会問題に関心があるのにパチンコ・競馬の経験のない人は、ぜひ一度行ってほしい。あの場に「今月はあと何万円あればいけるから、今日はこれだけ使おう」と考えているものなど1000人に1人もいないと気づくだろうし、なによりそれらが貧困を持続させていると気づくだろう