日本で若手企業家が生まれないのは間違いなく高齢社会のせいです

2009-01-18
 すごくおもしろい。だけど、僕は違う説明をしたい。アメリカと比べて、日本に優秀な若手の企業家が少ないのは、日本が高齢社会だから。http://www.stat.go.jp/data/jinsui/tsuki/index.htmを見て解るとおり、若者は数的に不利だ。民主主義の社会で数的に不利だということは、誰かが作った社会のシステムを、それが最悪なものでも、黙って受け入れなければならないということだ。
 そして今、日本で社会のシステムを作っている人たちは、「教育」と「親からの圧力」と「メディア」で企業家の目を摘みまくっている。日本の学校で、生徒が自立するための教育がなされたことがあったか?親も教師もローリスクローリターンな人生を最上のものだと教え込む。ハイリスクハイリターンな生き方は、「あれは一部の天才がするものだよ」と親もメディアも言う。彼らは、世界で活躍する若いスポーツ選手が出てくると、すぐアイドルとして扱う。若手企業家も同じで、バラエティに「なんかよくわからないけどアイデアマンで、若いのにがっぽり稼いでいる人」として紹介され、豪華な家、六本木ヒルズ、高級店で食事、などの庶民から見ても解る富の象徴を企業家が消費しているところばかり特集される。単純に、あらまあお若いのに稼ぎやがってうらやましいな、という番組しかない。せいぜい瑣末な「仕事術」が紹介されるくらいだ。彼らの考えていることは語られない。
 少しでも成功して、日本の共同体の基準から離れると、アイドル化され、「自分たちとは異なる存在」にしてしまうのだ。そうすることで、彼らに憧れ、本気でその生き方を目指そうとする子は激減する。ここに受験のシステムが一役買っていて、受験システムに適応できない子は落伍者とされ、適応できた子は、「手堅い」就職を求められてしまう。本当は、受験システムごときの中では楽々と勝利できる子*1でないと、企業家は務まらないのだが、そこも黙殺されている。
 じゃあ、そんな日本でどんな人が起業するのよ?ってなるけど、それは「疑問を持つ人」だ。結局、頭が良い人の必要条件はこれだ*2。この社会のシステムに疑問を持つ人は企業家を含めた「少数派」な生き方を選べる。自然の法則に疑問を持つ人は優秀な科学者になれる。でも、この「疑問を持つ」ってこと、教育では教えてくれない。教師から言われたこと、教科書に書いていること、学校の無駄に厳しい規則は、疑わずに受け入れなければいけないから。そもそも、何時間も同じ椅子に6歳児を座らせ続けるような日本の教育が、正常なわけがない。でも、誰も疑問を持たずに、教育費を削減し続ける政府の教育政策を黙ってみてるんだなあ。アホじゃないの。
 ということで、高齢社会と、その「高齢」な人たちのアホ保守っぷりがいろいろと日本を食いつぶしているという話でした。
 

*1:そもそも、賢い子は、たとえ自分が興味がある特殊な生き方を選ぶ子でも、有名大学を出たほうが有利だということを知っている

*2:とっくの昔に寺田寅彦が言ってる