橋下知事の「普通、勉強ができなければ体育はできる。学力も体力も低くてどうするのか」という発言について

 学力に続き、体力でも地域間の〈格差〉が浮き彫りになった。文部科学省が21日公表した全国体力・運動能力、運動習慣調査(全国体力テスト)の結果。昨年公表された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で下位に甘んじた大阪府は、体力でも都道府県別順位で39〜43位に低迷し、橋下徹知事は「大阪の教育は最悪。いい加減にしろ」と府教委を痛烈に批判した。一方、両テストで好成績を収めた自治体は「基本的な生活習慣を身に着けている証し」と文武両道に胸を張った。


 この日記者会見した橋下知事は、学力テストと合わせたダブルショックに、「普通、勉強ができなければ体育はできる。学力も体力も低くてどうするのか」と厳しい口調。「大阪に不健康な子どもが集まっているとでも言うのか」と、学校の取り組みに問題があるとの考えを強調した。

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090122-OYO1T00135.htm?from=top

http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20090127/1233055582
 僕も、最初に読んだときはid:sunafukin99さんが感じた違和感と近いものを感じた。でも、文脈を読むに、これは教育委員会や学校職員に対しての発言であるようだから、「職員が学力向上に力を入れていないなら、当然、体力向上には力を入れているはず(知事はそうだと思っていた)。しかし、両方できていないのは怠慢だ」という意味じゃないのかな。大阪府の子ども全体に向かっての発言とは考えにくいし。誤解を招くような文章であることは間違いないけど。
 ここから個人的な感想。僕は大阪府の公立高校出身。大阪府は地域別に受験できる公立高校が決まっていて*1、その中でトップの高校だった。で、公立高校というのは、中学校での成績を内申点に換算して、入試本番の得点にプラスして合否を判定する。そこで、そこそこ勉強ができる子でも、体育や美術が10段階のうち1とか2では公立トップ校に入るのはきつくなる*2。自然と、公立トップ校には、勉強だけでなく、体育や美術もできる子が集まることになる。実際に、僕の高校でも、何でもこなせる子が多かった。みんな運動慣れしていて、ルールやコツの覚えも早いので、体育の授業は楽しかったおぼえがある。この傾向は、全国であるはずだと思う。
 そして、橋下知事は、そんな大阪の公立トップ校の出身だ。自身もスポーツ万能、成績優秀だし*3。ここらへんを考えると、学力や体力の問題について、知事がどう思っているか少しわかってくるんじゃないだろうか。

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*1:今は再編されたらしい。昔から越境通学はほとんどない

*2:そのために、親が子どもの美術の課題をやるのは有名な話。弟の友達は、親戚の画家に頼んだらしい。毎年大量に家庭科の課題を仕上げている仕立て屋さんの存在も聞いたことがある

*3:橋下知事の出身校の中では、中程度の学力だったはずだけど