橋下知事を叩くついでに大阪府民の人権を侵害するのはやめてください

日常的に行われる橋下知事大阪府民叩き

大阪出身の経験から言えば、大阪府民には意地汚いリバタリアンと言うべき政治姿勢の人々が結構多くいる様に思えるのだ。
(中略)
溜池通信さんのいつぞやのエントリで、大阪の人は振り込め詐欺に引っかからないしたたかさを持っているのに、横山ノックを知事として選んでしまういい加減さとの二面性がわからない、と言った趣旨の記事があったが、私にはちょっとだけその心理が推測できる。
つまり、自分のことは自分でしっかりするが、お上のやることには期待していないので誰がなっても同じ(だから他よりおもろそうな人が良い)と考えているのだろう。
(中略)
それは「意地汚い」リバタリアンなので、もらえるモノは遠慮無く貰うことが一面で行われてきたからだ。
理想主義者リバタリアンなら、自分の利益になることでも政府が肥大することは拒否するのだろうが、大阪に多いタイプはお上には期待しないけど、自分の利益になるなら諸手を挙げて歓迎する。と言うもの。
(中略)
このように、私の考えでは、橋下知事のようにとにかくサービスを切っていくやり方は意外と大阪府民の性質にマッチしたやり方だと思う。

大阪人にはリバタリアンが多いのでは?:本読みの記録:So-netブログ

 どうもネットには「大阪府民=バカ」みたいなことを平気で書く人が多い。この人も、最初に自分が大阪に住んでいたことを書けば大阪府民の人権を侵害してもOKだと思っているのだろうか?

新自由主義御用達番組、『サンデープロジェクト』に、なんと橋下徹が出ている。
しかも、驚いたことに橋下は開口一番、11年ぶりに黒字化したという大阪府の財政について、「サービスを削って黒字化しただけ、府民に迷惑をかけていて、ほめられた話ではない」と自ら認めたのだ。
つまり、ろくでもないことをやっている自覚が、橋下にはあるということだ。
こんな橋下を支持し、応援する大阪府民っていったい...

橋下徹、「サービスを削って黒字化しただけ、ほめられた話ではない」と自ら認める - kojitakenの日記

 ネット上に溢れる橋下知事叩き、そのついでに大阪府民までもが叩かれている。珍しいケースではない。ブログで、コメントで、「社会問題を論じている」という意識で、大阪府民を叩く文章を書いているのだろうか? 橋下知事の政策だけを批判すればいいのであって、どうして毎回「大阪府民の精神性」に問題を持っていく必要があるのだろう?
 「橋下はバカ、それを選ぶ大阪府民はもっとバカ、オレはそれに気づいているインテリだ、社会的正義を実現しているんだ」というのはもうやめてほしい。いい大人がすることではない。

id:y_arim 暴露系知事ねえ。エロゲでいるよな、「見てごらん、ぼくのチンポがいい感じに入ってる」とか実況する主人公。こういうことをされると何故かいいようにあしらわれてしまうという謎の惰弱さをなんて言うんだっけ? 2009/02/15

はてなブックマーク - 橋下徹、「サービスを削って黒字化しただけ、ほめられた話ではない」と自ら認める - kojitakenの日記

 ここまでくると何と闘っているつもりなのかすらわからなくなってくる。橋下知事18禁ゲームの主人公に、大阪府民、知事の支持者を知事に犯されながら「いいようにあしらわれてしまう」「謎の惰弱」な人間と喩えることで、不愉快な思いをする人間のことを、考えられなかったのだろうか? 堂々と知事の政策を批判することはできないのだろうか? そもそも健全なネットサービスに書き込むべき内容だろうか?
 橋下知事の政策に反対する人の中でもこの文章はあまりにもひどく、特殊だと思うが…。政治家の言動に対してコメントするときに「エロゲ」「チンポ」という言葉が出てくる、それだけで気持ちが悪い。

ネットの大阪叩きは怖い

 元々、ネットでの大阪叩きというのは少なくなかった。かつて在日外国人が多いだとか、治安が悪いだとかで、大阪を叩いていた人間は、橋下知事知名度、メディア露出を利用して大阪(府民)を叩きつづけるのだろう。
 怖いところは、橋下知事叩きの大半は、「橋下はクソ右翼」「橋下は新自由主義者」「片っ端からサービスをカットしている」「弱者切捨て」といった論調で書き捨てられていて、非常に影響力が強い。知事が本当に右翼であろうが、なかろうが、一度ネットに書かれてしまえば、いろいろな場所で言い捨てられ続けてしまう。「弱者」「右翼」といった言葉の定義もあいまいなまま、それらの言葉はコピーされ続ける。
 さらに怖いのは、東京都の石原知事と比較した場合だ。石原知事は、その発言が問題か否か、また政治を私物化しているか否かなど、ある程度賛否両論分かれている知事だと思うが、「石原知事を選ぶ東京都民」を叩く言説は、「橋下知事を選ぶ大阪府民」を叩く言説に比べ、驚くほど少ない。両者の政治家としての期間を考えると異常だ。東京・大阪という二項対立で見るのは危険だが、東京の「強さ」「巨大さ」が見える。

個人的に大阪はどう見えるか

 自分は大阪に住んでいるが、橋下知事の登場で、30代以下の層の、政治的関心が飛躍的に上がったことは間違いない。いま、多くの大阪府民が、橋下知事の、一挙手一投足を、テレビで、新聞で、ネットで、注目してみている。府政に関する議論も、これまでは絶対になかったことだが、「橋下知事」を触媒にして、活発に行われている。もちろん、盲目的な支持、反対をする人もいるが、「ここはダメだけどここはいいい」という議論も、一般のレベルでできている。府民の政治参加という意味ではいい方向に来ていると思いたい。

大阪府民を叩く人への主張

 最後に、ここまでの話は読み飛ばしてもらってもかまわないのですが、橋下知事を叩くついでに、大阪府民を叩くのはやめてください。まともな大人のやることではないと思いませんか? 大阪府民が、という大きな主語にしても成立すると思いますが、とりあえず、私は不愉快なのです。